ご存知のように、1997年~2002年まで、アメリカのロサンジェルスに、住んでいました。
その時期も、いろいろな体験をしました。
好奇心旺盛なので、面白そうなところへは、出かけて行き、直接、自分で、体験するという姿勢で、面白い人と、出会ったり、ワクワクすることや楽しいことを、たくさんやりました。
今回、皆さんに、お話するのは、「ラスベガス」の話です。
1997年に、いろいろな奇跡が、重なり、渡米することもできたし、ロサンジェルスの高級住宅街で、プール付きの豪邸に、住むという贅沢な生活も、実現することが、できました。
金銭的にも、不自由しない環境だったのですが、時間も、たっぷりあり、人間関係にも、恵まれ、大好きな筋トレも、思う存分できるという、自分の生涯で、最高に、恵まれた時間を、過ごすことができました。
人間って、一生の間に、1回くらいは、こういう王様のような生活をする時期が、あっても、いいと思います。
一度、やっておくと、意外なことに、物欲が、なくなります。
物質的な成功というものを、体験することで、そういう執着が、なくなることが、多いみたいなのです。
ただ、自分が、体験して、わかったのですが、こういう生活は、すぐに、飽きるし、思ったほど、楽しいものでは、ないことが、わかりました。
最初の3ヶ月は、最高の気分なのですが、半年くらいから、だんだん、他の生活を、やりたくなってくるのです。
「幸せすぎて、苦しい…」
という苦しみが、襲ってくることも、あるということです。
これは、体験したことがある人は、極端に、少ないと思うので、なかなか、わかってもらえないみたいなのですが、人間には、こういう苦しみも、あるみたいなのです。
あまりにも、満たされているので、
「ああ… 幸せすぎるな… 嫌な体験って、どういう感じだったのかな? もう、ずいぶん、不愉快な体験って、やっていないな… そろそろ苦しい仕事、また、やってみようかな? 嫌な奴に、会ってみたくなったな… そういえば、病気の苦しみも、あまりやっていないな…」
こういう悩みと苦しみが、でてきたのです。
億万長者が、ある日、突然、自殺したりするのは、この苦しみが、多いのかもしれません。
この苦しみは、オマケがあって、普通の生活を、やっている人たちに、悩みを、打ち明けると、全員から、
「ふざけるな! 何を、贅沢なこと、言っているんだ!」
と、怒られるということです。
誰に、話しても、理解してもらえないし、話せば、話すほど、嫌われるという、じつは、けっこう、苦しい状態なのです。
そういうとき、私のキネシオロジーの師匠で、カイロプラクターの本間先生に、この悩みを、喫茶店で、打ち明けると、
「うん。わかるよ… 私も、若い頃、君と、同じ苦しみを、体験したことがあるよ。それって、本当に、苦しいよね…」
と、共感してくれたのでした。
「自分の苦しみが、わかってくれる人が、いたんだー! 本間先生って、なんて、奥の深い人生を、生きてきた人なんだろう」
こう思って、感動しました。
人間の悩みや苦しみというのは、共感したり、同情してくれる人が、たった一人いるだけで、これほど、楽になるということを、その時、改めて、わかりました。
ちょうど、その頃は、いろいろなことを、ある程度、やり終えた頃でもあり、心に、ポッカリ、穴があいたようなかんじに、なっていました。
その頃に、
「そうだ! ラスベガスで、ギャンブルというものを、やってみよう!」
こう思って、ラスベガスに、行ったのです。
すぐに、街の魅力と、ギャンブルの面白さに、はまりました。
これから、書くことは、10年以上前の話なので、記憶が、あいまいな部分も、あると思いますが、かまわずに、書きますね。
私は、学者でも科学者でもないし、ジャーナリストでも、ありません。
エッセイストやブロガーといわれている位置づけなので、
「事実を、伝える」
というよりは、
「思ったこと、感じたことを、自由に、書く」
という立場なので、詳しく知りたくなった方は、ご自分で、いろいろ調べてみてください。
ラスベガスという街のはじまりは、アメリカの西海岸あたりで、「ゴールドラッシュ」と、呼ばれた現象が、起こったのが、始まりだったという説が、あるようです。
ゴールドが、たくさんとれるという噂が、広がり、アメリカ中の野望をもった男たちが、カリフォルニア州あたりに、集まり、金の採掘を、始めた時期が、あったようなのです。
余談ですが、実際に、金を、掘り当てて、大金を、稼いだ男たちも、いたようなのですが、本当に、儲け人は、金を、掘り当てた人ではなく、採掘者たちに、ツルハシやシャベルを、売っていた人たちみたいです。
ジーンズを、販売した人も、儲かったようです。
このように、いつの時代でも、本当に、お金が、儲かるのは、目に見えて、儲かっていそうな業種ではなく、その周辺あたりが、多いみたいです。
日本でも、バブルが、はじける前の不動産ブームの時に、本当に、儲かっていたのは、不動産業者ではなくて、引越し屋さんだったそうです。
たくさん建物が、建った後、そのオフィスや住居に、家具を、運ぶ仕事が、一番、儲かっていたそうです。
こうやって、本当に、儲かっている人たちは、黙っています。
あまり、儲かっているということを、声高に、叫んでいると、ビジネスチャンスを、盗られる危険性が、あるからです。
さて、ラスベガスの話に、戻ります。
ラスベガスという街は、このゴールドラッシュで、一攫千金を、果たした成金の男たちの社交場として、始まったという説が、有力みたいです。
大金持ちになった男たちが、次に、狙うのは、やはり、美女です。
しかも、生涯の伴侶となるような女性です。
そして、できれば、お金の力で、落とせないような大金持ちの令嬢が、奥さんに、欲しいと、思ったようです。
ただ、大金持ちの令嬢たちは、父親も、金を、持っているので、お金欲しさに、結婚することは、ありません。
そこで、成金の男たちが、何を、やったかというと、それが、「ギャンブル」なのです。
勝つために、やるのではありません。
負けるために、やるのです。
たとえば、現在の日本円にして、100億円、持っているような男が、一晩で、100万円、ギャンブルで、勝っても、面白くも、なんともありません。
本人も、感動しないし、周囲の人たちも、
「金持ちが、これ以上、金稼いで、どうするんだ?」
というかんじで、冷めた目で、見るでしょう。
具体的には、成金たちは、金持ちの令嬢たちが、集まるようなギャンブル場に、行って、大金を、賭けます。
そして、ボロボロに、負けるのです。
なるべく、一度に、たくさんのお金を、とられるような負け方をします。
その時の、負けた時の顔の表情を、令嬢たちは、見ているのです。
このときに、たとえば、1000万円くらい負けて、
「チクショー!!」
などと叫んで、取り乱したら、男を、下げるのです。
1000万円くらい、一度に、負けた後に、ポーカーフェイスで、
「今夜も、楽しませてもらったぜ。ほれっ、チップだ」
こういい残して、さらに、500万円くらいの札束を、バサッと、置いていうことで、令嬢たちに、男っぷりを、アピールしたのだそうです。
「カッコイイー!」
と、令嬢たちが、思ったかどうかは、わかりませんが、成金の男たちは、これを、やることによって、
「俺は、お金だけの男じゃないんだぜ。俺は、そこらへんの成金どもとは、違うんだぜ! オイ、こんな俺に、惚れるんじゃないぜ!」
と、言いたかったようなのです。
ちなみに、英語の「ダンディー」という単語は、この時期に、できたという話を、聞いたことがあります。
世界一、お金に、執着している人たちが、集まりそうな街の歴史が、
「世の中は、お金が、全てではない」
と、言いたい男たちから、スタートしているというのが、面白いですね。(笑)
次に、ギャンブルそのものについて、書いてみます。
アメリカのラスベガスのように、ギャンブルで、できた街もありますが、世界中のありと、あらゆる場所で、ギャンブルや博打などの賭け事は、昔から、楽しまれています。
娯楽として、楽しんでいる人もいれば、これで、人生が、ダメになり、自殺してしまう人もいます。
アメリカでは、「ギャンブル」という産業は、「麻薬産業」に、分類されているようです。
つまり、外から、違法のドラッグなどを、服用したりは、しませんが、ギャンブルで、勝った時に、脳内麻薬が、分泌されることから、「麻薬産業」だという位置づけに、なっているそうなのです。
そのメカニズムは、単純なのですが、
たとえば、パチンコで、最初の台で、たまたま、10万円が、当たって、玉が、ジャラジャラと、出たとします。
このときに、ある種の脳内麻薬が、ドバーッと、放出されるそうなのですが、怖いのは、その後です。
この脳内麻薬は、次に出るのは、10万円以上からに、なるみたいなのです。
9万9千999円までは、この麻薬は、出ないのだそうです。
だから、一度、この麻薬が、出た人は、次に、10万円以上が、出るまで、パチンコ店に、通い続けることに、なるようなのです。
でも、10万円以上なんて、そんなに、簡単には、出ないので、それ以降は、どんどん、お店に、お金を、とられ続けるということに、なりやすいのです。
パチンコ店は、こういうことを、よく知っているみたいです。
だから、開店の時は、大盤振る舞いで、バンバン、玉を出し、あとから、ずーっと、搾り取るということを、やるのです。
これは、パチンコ以外でも、競馬や宝くじ、あと、株やFXなどにも、いえるのかも、しれません。
さらに、タバコやお酒、もしかしたら、恋愛などにも、部分的には、当てはまるのかもしれません。
快感というものは、人間にとって、ほどほどであれば、快適だけど、度が過ぎると、危険であるということです。
1998年の元旦に、日本から来ていた弟と、初めて、ラスベガスに、行ってから、ギャンブルの魅力に、とりつかれたのですが、特に、大好きだったのが、「ブラック・ジャック」でした。
この単純なカードゲームの虜になりました。
なんでも、やるときは、徹底的に、やらなくては、気がすまない性分なので、ラスベガスの街の構造やギャンブルの仕組み、さらに、ブラック・ジャックのルールから、攻略法、確率学、心理学的な駆け引きまで、かなり本気で、勉強しました。
生きた勉強でした。
「お金とは、なにか?」
「資本主義とは、なにか?」
「能力とは、なにか?」
「運とは、なにか?」
こういうことが、かなり深く理解できました。
まず、ラスベガスの街で、気がついたのは、
「特別な経済特区でもある」
ということです。
税金などの制度も、他の州や街とは、違うみたいのですが、一番、驚いたのは、「クレジットカード」でした。
なんと、ラスベガスの街の中では、クレジットカードで、キャッシングをすると、上限金額が、なくなるのです。
知り合いから、教えてもらったのですが、ためしに、上限額が、日本円で、10万円のカードで、30万円くらいの現金を、引き出したら、本当に、出てきたのです。
「こわ~い!」
と、思いました。
聞く所によると、パスポートだけでも、カジノ側は、いくらでも、お金を、貸してくれるみたいです。
だから、ここで、人生を、ダメにしてしまう人が、多いのですね。
また、これも、噂ですが、ラスベガスの特別条例みたいなものが、たくさんあり、ホテルの窓が、数十センチしか、開かないのですが、これは、表向きは、自殺の予防ということに、なっているのですが、一昔前は、大金を、儲けた客を、自殺に、見せかけて殺す人が、いたために、政府が、こういう窓に、したのだそうです。
日本でも、「カジノ構想」が、たびたび、話題に、なりますが、こういうことを、考えた上で、判断したほうが、いいと思います。
基本的に、ラスベガスの街は、ギャンブル自体は、イカサマは、ほとんどないみたいです。
これが、裏カジノなどであれば、逆に、ほとんどイカサマみたいです。
以前、裏カジノのディーラーだった人から、直接、聞いたのですが、彼らは、耳の中に、超小型で、高性能のイヤホンを、埋め込まれていて、お店から、いろいろ指示されながら、お客さんを、イカサマで、はめて、全財産を、奪い取るそうです。
まあ、このエッセイを、読んでいる人の中には、こういう裏カジノに、行く人は、いないと思いますが、老婆心で、書いておきます。
ラスベガスのカジノ場には、天井に、たくさんの「アイ・イン・ザ・スカイ」と呼ばれている監視カメラが、据付られているのですが、ここで、監視しているのは、元イカサマ師たちだそうです。
下手なイカサマをやれば、見破られ、厳重注意されてから、場合によっては、街への立ち入りが、禁止されることも、あるそうです。
ブラックリストに、載ってしまうのだそうです。
ただ、上手いイカサマをやると、元イカサマ師の監視員たちから、
「俺たちと、一緒に、仕事しないか? こちらのほうが、儲かるぜ」
と、スカウトされるのだそうです。
面白いですね。
また、ラスベガスの場合、街の中に、ネバタ州立大学が、あるのですが、この大学に、ギャンブルを、教える学科が、あるみたいで、カジノ場には、この大学の学生たちも、アルバイトで、勤務していることなども、知りました。
彼らは、特殊な訓練を、受けるらしく、たとえば、ブラック・ジャックなどのカードゲームをする時、出たカードを、ぜんぶ、記憶しているのだそうです。
さらに、それの記憶から、次の場面で、ブラック・ジャックが、並ぶ確率を、瞬時に、計算できるのだそうです。
噂によれば、プロだと、小数点第二位まで、その確率を、だすそうです。
「次のカードを開く時、ブラック・ジャックが、並ぶ確率は、34.73%だ」
というかんじらしいです。
まるで、コンピューターと、勝負しているようなかんじなんですね。
彼らは、それ以外にも、さまざまな、心理戦を、知っていて、かなり、本気でやらないと、勝てないように、なっているみたいです。
さて、そのラスベガスですが、ある時期は、週に、3回くらい、行っていました。
ぜんぶ、あわせると、25回くらい、行きました。
これくらい、通うと、いろいろなことが、わかってきます。
ストリップ通りというメインストリートが、あるのですが、ここは、有名な観光地ですが、たくさんの無料のアトラクションを、やっています。
なぜ、ここで、やっているのかというと、詳しいことは、省きますが、お客さんの側が、ギャンブルで、勝つのが、難しい仕組みに、なっているからです。
繰り返しますが、イカサマは、やっていないのですが、マシンの構造や街の構造自体が、お客さんの側が、負けやすいように、なっているみたいです。
だから、負けた後も、
「損をした、チクショー、もう二度と来るもんか!」
と、思わせないように、金銭的も、負けても、無料のアトラクションやショー、美味しい料理なので、埋めあわせて、満足して、帰ってもらい、また、次回も、来てもらうために、様々なサービスを、提供しているのです。
ギャンブルそのものを、楽しむのであれば、ちょっと、メインストリートから、離れた、ダウンタウンで、プレイするのが、オススメです。
現在は、どうなのか、わかりませんが、10年以上前は、ダウンタウンにある、「ラスベガスクラブ」という名前のホテルが、
「世界一、ブラック・ジャックで、お客さんが、勝てるカジノ場」
だと、言われていました。
行ってみると、本当に、そうでした。
ここは、古き良き時代のラスベガスのギャンブルが、残っていました。
このように、ラスベガスで、ギャンブルする場合には、
「どこのホテルで、プレイするのか?」
で、ある程度、決まってしまうということまで、わかりました。
また、本気でやって、運がよければ、日本円で、10万円くらいまでは、勝たしてくれるシステムに、なっていることも、わかりました。
交通費と滞在費が、ペイできるくらいの金額は、たまに、勝てるみたいです。
リピーターにするためです。
ただ、それ以上、欲を持つと、巻き上げれれる仕組みに、なっているみたいです。
ロスからラスベガスまでは、車やバスなどで、よく通いました。
たまに、飛行機でも、行きましたが、空港で、飛行機から降りたら、目の前に、いきなり、スロットマシンが、あるのには、笑ってしまいました。
最初の頃は、いろいろなホテルで、やっていたのですが、後からは、前述の「ラスベガスクラブ」という場所だけで、勝負していました。
ここまで、来ると、もうマニアですね。
だいたい、12時間くらい、ぶっ通しで、一晩中、プレイしていました。
ラスベガスのホテルは、寝室は、普通のエアコンなのですが、カジノ場のエアコンからは、酸素が、出ていて、元気に、なるように、なっているみたいです。
部屋に、帰ると、グッタリするのですが、カジノ場では、元気になります。
だから、自然に、お客さんは、無意識のうちに、頻繁に、カジノ場に、通うようになるみたいです。
さらに、ホテルによっては、照明で、人工の昼と夜を、演出して、時間の感覚を、麻痺させるように、しています。
人が、歩く導線にも、様々な工夫がされていて、街全体が、ギャンブルのための大仕掛けに、なっているのです。
毎回、1万円~5万円しか、賭けないので、金銭的な損失は、あまりありませんでした。
勝つことが、目的ではなく、雰囲気を、楽しみにたくて、行っていたからです。
さらに、いろいろな仕組みを、知りたいというのが、一番の目的でした。
ただ、いろいろ調べているうちに、どうしても、わからないことが、出てきました。
他のホテルは、ともかくとして、この「ラスベガスクラブ」というカジノ場では、「ブラック・ジャック」というゲームに、限っては、確率的に、お客の側が、有利なはずだったのです。
数学の考え方だと、確率的に、有利であれば、少ない金額を、チビチビ賭けていれば、長時間やれば、最終的には、勝てることが、多いはずなのです。
それでも、実際には、だいたい、毎回、負けて、最後は、帰りの交通費だけを、持って、逃げ帰るようなことが、多かったのです。
「理論的には、勝てるはずなんだけどな… どうして、勝たないんだろう?」
と、いつも、考えていました。
そんなある日のこと、ロスのリトル東京で、ある本を、手に取りました。
タイトルは、忘れましたが、ジャーナリストの落合信彦さんの本でした。
だいたい、こういう話だったと、思います。
落合氏が、若い頃、やはり、ラスベガスに、はまった時期が、あったそうです。
ある日、勝ちまくって、チップを、山のように、積んでいたら、隣に、座っていた、おじいさんが、
「おい、若いの、そろそろ、このあたりで、やめておけ。オマエは、あと、4回くらいは、勝てるが、5回目くらいからか、負け始めて、最後には、スッカラカンに、なるぞ」
と、忠告してきたのだそうです。
落合氏は、若かったので、強気で、
「このじいさん、何言っているんだ? 俺は、今夜は、ツキまくっているんだ。この俺が、負けるわけ、ないだろう」
こう思い、その忠告を、無視して、ゲームを、続けたそうです。
すると、不思議なことに、その後、本当に、5回目くらいから、負け始め、最後には、スッカラカンに、なったそうです。
ビックリして、ディーラーの人に、
「あのじいさんは、何者だ?」
と、尋ねると、
「あんた、あのじいさんを、知らないのか? あの人は、ラスベガスの伝説といわれた、ラスベガス最強のギャンブラーだぞ」
と、教えてもらったのだそうです。
落合氏は、急いで、そのじいさんを、追いかけて、探し出したそうです。
それから、そのじいさんに、
「どうして、俺が、負けることが、あんなに、正確に、わかったんだ? どういう運の読み方を、しているんだ? よかったら、後学のために、教えてくれないか?」
と、頭を下げて、訊いたそうです。
すると、そのじいさんの答は、意外な答だったそうです。
「オマエが、どんなに、強くても、20人と喧嘩したら、勝てないだろう?」
落合氏は、これを、聞いて、ビックリしたそうです。
そうなのです。
そのじいさんは、「運」の流れなど、見ていなかったのです!
「脳内疲労」
ここに、着目していたのです!
つまり、落合氏は、一人で、プレイを、続行しているのですが、ディーラーは、15分から、30分で、交代します。
疲れた脳の落合氏に、20人の元気な脳が、立て続けに、勝負を、挑んでくるのです。
アルバイトのディーラーが、フレッシュな脳で、どんどん、出勤してくるシステム。
これが、ブラック・ジャックなどのカードゲームの秘密だったのです。
「運」
「確率」
「駆け引き」
「心理戦」
一見、こういうことだけに、目がいくように、仕向けていて、実は、
「脳内疲労」
これを、狙っていたということに、落合氏は、気がついたのだそうです。
このじいさんは、運気ではなくて、落合氏の顔の表情や動作から、
「あと、5回くらいプレイした頃から、脳が、疲れれてきて、判断力が、落ちる。だから、負ける」
と、判断していたのです。
ホテルの建物のエアコンからは、酸素が、出ているために、身体は、元気になっています。
でも、照明のなどで、時間の感覚を、狂わせたり、バニーガールなどのセクシーな女性が、無料で、アルコールを、配ったりして、脳を、疲労させていたのです。
「身体は、元気だが、脳は、疲労している」
という錯覚で、皆、負けていたのです。
目から、鱗でした…
「そうか… そういうことだったのか…」
ようやく、ラスベガスの秘密が、わかって、嬉しくなりました。
「それにしても、お金を、儲ける人たちって、ここまで、仕掛けを、するんだな…」
こう思って、驚きました。
それから、さらに、いろいろ調べて、
「よし、今夜で、ラスベガスで、ギャンブルをする最後のプレイにしよう」
こう思って、「ラスベガスクラブ」に、行って、「ブラック・ジャック」を、やりました。
全身全霊を、かけて、本気で、勝負しました。
最後には、スッカラカンになって、ボロ負けしていました。
なけなしのお金を、賭けて、財布のお金が、ゼロに、なったことを、ディーラーに、伝えたら、そのディーラーが、
「あなたのこと、気に入りましたよ。ずいぶん、勉強したんですね。あなたのような賢い賭け方をするお客さん、初めて見ましたよ」
こう言って、褒めてくれたのです。
この言葉を、聞いたら、ホッとして、それから、目から、少しだけ、涙が、でてきました。
驚きました。
こういう涙が、出てくるというのは、何かを、本気で、やった時です。
「たかが、ギャンブルじゃないか」
と、思う人もいるでしょうが、どんなことでも、ある時期、ひとつのことを、本気で、真剣にやるということは、やはり、いいことなんだと、思います。
この瞬間が、自分のギャンブルの卒業式だったと、思っています。
これ以降、ギャンブルは、ほとんど、やっていません。
「ラスベガスで、運よく、勝った!」
という人は、たくさんいるでしょうが、
「ラスベガスで、プロのディーラーから、褒められた」
という人は、あまりいないと、思います。
これっ、けっこう自慢です。(笑)
ギャンブルを、やめたのは、他にも、当時、やっていた、「パワーリフティング」というう競技の記録が、伸びてきて、こちらのほうに、魅力を、感じはじめたということも、理由の一つです。
ギャンブルに、夢中になっていた頃は、これよりも、ワクワクするものが、なかったからでした。
逆に言うと、もし、ギャンブルを、やめたいと、思ったら、それよりも、ワクワクするものを、見つけることです。
「道徳」などでは、やめられません。
私のように、人生が、破滅しない程度で、とことん、やってみても、いいかもしれません。
「ラスベガス」では、本当に、たくさんのことを、学びました。
あの時の経験は、無駄ではないと、思います。
現在は、「キネシオロジー」というヒーリングが、本業なのですが、これのセミナーや個人セッションで、静かなワクワクを、感じながら、毎日、地道に、コツコツ、仕事しています。
苦しいことも、楽しいことも、同じくらいありますが、とても、充実した毎日を、生きています。
PS このエッセイを、書いていたら、また、ラスベガスに、久しぶりに、行ってみたくなってきました。(笑)
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