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日本人の笑い

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最近、友人たちと、お笑い番組について、よく語ります。

「笑い」というものは、奥深いです。

映画やドラマを、制作する監督や脚本家、そして、俳優さんや女優さんたちも、

「人を、泣かせるよりも、笑わせるほうが、難しい」

という意見を、よく口にするようです。

それだけ、笑うという感情は、高度なものなのでしょう。




日本人の笑いの底辺は、長い歴史を、さかのぼれば、落語や漫才などからも、影響を、受けているでしょう。

さらに、もっと古い文化や外国からも、いろいろな影響を、受けていると思います。

ただ、比較的最近からに、話を絞ると、日本人の笑いには、大きく分けて、2種類の笑いがあるそうです。

それは、「ドリフ系」と「ひょうきん族系」の二つだそうです。

若い人は、よく知らないかもしれませんが、昭和の時代に、お茶の間で、大人気だった、二大番組、「8時だョ!全員集合」と「オレたちひょうきん族」です。

前者は、ザ・ドリフターズが、やっていた番組ですね。

後者は、ビートたけしさんや明石家さんまさんなど、現在でも、活躍しているお笑いタレントが、たくさん登場した番組です。



「ドリフ系」の笑いとは、「単純な笑い」です。

非言語コミュニケーションの部分も、大きいです。

言葉が、わからなくても、動作などで、笑えるのです。

外国人でも、わかる笑いといっても、いいと思います。



それに対して、「ひょうきん族系」の笑いとは、比較的「複雑な笑い」です。

これは、ある程度、日本の文化や歴史、その時の社会情勢、流行のファッションや音楽、芸能関連のニュースなど、世間的なことが、わからないと、笑えない笑いです。

おそらく、日本語わかる外国人でも、日本の文化が、かなりわかっていないと、笑えない笑いだと思います。


たとえば、アメリカなどで、旦那さんが、アメリカ人で、奥さんが、日本人の場合、二つの番組を、英語の字幕付きで、テレビで、見た場合、「8時だョ!全員集合」は、アメリカ人の旦那さんも、一緒に、笑えるでしょう。

でも、「オレたちひょうきん族」のほうは、アメリカ人には、「ニュアンス」が、あまり伝わらないかもしれません。

日本の社会を、いろいろ深く知っていないと、わからない話も、あるからです。



この二つの笑いを、自分なりに、考察してみました。

すると、面白いことに、気がつきました。

「8時だョ!全員集合」のほうが、最初に、始まったのですが、日本の家庭には、その頃までは、まだ、大家族が、残っていました。

つまり、祖父母、両親、子供たちという家族構成で、三世代が、一緒に住む家庭も、けっこうあったのです。

だから、「ドリフ系」のような笑いが、求められたのかもしれません。

当時は、まだ、テレビも、一家に、1台しかない家も、多かったので、一度に、お年寄りも大人も子供も、一緒に、笑えるような単純な笑いが、必要だったのでしょう。



一方、「オレたちひょうきん族」の始まった頃は、そのちょっと後で、少しづつ、核家族化が、進んできた頃でした。

だから、お年寄りも、別居していたり、一家に、テレビが、2台や3台ある家も、増えてきた頃です。

この時に、「ドリフ系」の笑いでは、少し飽きてきた若者向けに、少し複雑な「ひょうきん族系」の笑いも、求められてきたのだと思います。

もうちょっと、知的で、ウイットやユーモアを、感じるような笑いですね。

私が、中学生の頃に、「オレたちひょうきん族」が、始まったのですが、クラスメイトでは、「ひょうきん族系」のほうが、面白いという人のほうが、多くなっていた記憶があります。

ただ、私自身は、「ドリフ系」の単純な笑いのほうが、好きでした。



30歳から、アメリカに、留学したのですが、ある英語学校での授業中に、英単語の「similar(~とよく似た)」を使って、会話するというレッスンが、ありました。

その時、隣の席の台湾の出身の女の子と組んで、会話していたら、私の発音が、悪かったみたいで、

「えっ、何? シムラ? どうして、ここで、シムラの話をするの?」

と言いながら、ドリフのメンバーの志村けんさんの「髭ダンス」の真似をしながら、聞いてきて、大笑いしたことがあります。

「日本の志村を、知っているの?」

驚いて、尋ねたら、

「ええ、モチロン。台湾で、シムラの髭ダンス知らない人、いないわよ」

と言われました。

「そうか… ドリフのようなシンプルな笑いは、世界中で、通用するんだな…」

しみじみと、こう思いました。




非言語コミュニケーションは、世界共通です。

音楽、絵、踊り、スポーツ、格闘技などですね。

外国人と交流する場合、モチロン、言葉も大切ですが、こういう言葉以外の交流も、同じくらい大切です。

そういえば、ドリフの「髭ダンス」は、「チャップリン」の笑いから、ヒントを、もらったのかもしれません。

チャップリンの笑いも、ほとんど、言葉はなく、動作などで、笑わせる笑いでしたね。

お笑い番組を見る時、こういう視点で、眺めてみると、また、いろいろな発見があると思います。






PS いかりや長介さんが、亡くなった時、「ひとつの時代が、終わったな…」と、寂しい気持ちになりました。

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