ロンドンオリンピック、始まりましたね。
「オリンピック」の歴史について、調べてみました。
近代オリンピックの生みの親は、フランス人のクーベルタン男爵だと、言われているそうです。
彼は、どうして、オリンピックを、はじめようと、したのでしょうか?
クーベルタン男爵の育った19世紀には、産業革命とよばれる、とても、大きな社会の変化が、ヨーロッパ各地で進んでいたようです。
その変化のなかで、ヨーロッパ各地で、戦争が起きていて、クーベルタン男爵のフランスも、プロイセン(今のドイツ)と戦争をし、負けたそうです。
その後、フランスでは、プロイセンへの復讐を、あおるような教育が、行われていて、それに疑問を、思ったクーベルタン男爵は、スポーツによる青少年の教育と、平和な世界を、築くための手段として、古代オリンピックと「エケケイリア」に注目し、近代オリンピックの開催に、尽力したそうです。
この古代オリンピックの「エケケイリア」というものが、オリンピックの本質を解く、鍵になると思います。
古代オリンピックは、紀元前8世紀に、ギリシャのオリンピアという場所で、ギリシャ神話の最高神、「ゼウス」に捧げるお祭りとして、スタートしたそうです。
そこで、「エケケイリア」という言葉が、生まれたのですが、「エケケイリア」というのは、古代ギリシア語で、「剣の柄に、伸ばした手を、止める」とか「手をつなぐ」いう意味だそうです。
簡単に、訳すると、「オリンピック停戦」という意味だそうです。
古代ギリシア人は、ギリシア語を使い、オリンポスの神々を、たたえ、ポリスとよばれる都市国家に、属する自分たちを、「ヘレネス」とよんでいたそうです。
一方で、他の言葉を使っていたり、オリンポスの神々を信じない他民族を、「バルバロイ」とよんで区別していたそうです。
「バルバロイ」の人たちは、主に、「奴隷」のような仕事を、させられていたそうです。
この「バルバロイ」というのは、「聞きづらい言葉を、話す者・訳の分からない言葉を、話す者」という意味で、由来としては、ギリシア人には、異民族の言葉は「バルバルバル」と聞こえたからと、いわれているそうです。
ちなみに、これは、英語の「barbarian(野蛮人)」の語源でも、あるそうです。
「バーバリアン」って、こういう意味だったのですねー。
当時、同じヘレネスであっても、ポリスが違えば、ポリス同士で戦争することが、あったようです。
だけど、オリンポスの神々を、たたえるお祭りの最中に、戦争するのは、神様に対する、大変な無礼として、「エケケイリア」、つまり、「オリンピック停戦」が生まれたのだそうです。
つまり、
「神々をたたえるお祭りの最中くらいは、平和で、礼儀正しくしましょうよ。お互い、いろいろ大変ですけど、これくらいのマナーは、人間として、最低限、守りましょうよ」
という約束だったそうです。
この期間には、武力闘争は、もちろん、法廷闘争や死刑も、停止になり、価値観の違う者同士が、話し合うことができる、唯一の期間だったそうです。
一番長い時で、3か月、続いたことも、あったようです。
この「エケケイリア(オリンピック停戦)」という約束を、破った場合、オリンポスの神々を、信じている、「ヘレネス」とみなされなくなり、交易を中止させたり、ほかのヘレネスの祭典にも、参加できなくなるなど、バルバロイと同じ扱いをされる制裁を、受けさせられたそうです。
奴隷の身分に、されたということです。
「こんな最低限のマナーも、守れないような者は、人間ではない。野蛮人だ!」
と思われた、ということですね。
この制裁は、大変厳しく、有名なアレキサンダー大王でも、これを、破ったときに、制裁を、免れることが、できなかったそうです。
まとめると、「オリンピック」というのは、現在では、「平和の祭典」だと、言われていますが、古オリンピックまで、歴史をさかのぼると、もともとは、違っていたということです。
簡単にいうと、オリンピックによって、世の中を、一時的な停戦状態にする。
そして、そのときに、誰が、この停戦という決まりを、破るのかを、見極めるための儀式だった、ということです。
「誰が、野蛮人なのか?」
これが、メインの目的だったということです。
古代の人たちの知恵って、凄いですね。
現代では、1993年くらいから、「五輪停戦決議」みたいな感じで、国連などでも、取り上げられているそうです。
ただ、古代ギリシャでも、そうだったように、現代でも、法的拘束力を、もたないものなのだそうです。
これを、破ったときの具体的な罰則や罰金などが、ないということですね。
だから、逆に、凄い力を、持っているし、怖いのです。
これを、破った国は、罰則がない分、もっと、恐ろしい、「社会的な抹殺」という厳しい判決が、裁判所ではなく、「世間」から、下されるということです。
「あなたのような最低のバーバリアン(野蛮人)とは、今後一切、お付き合いは、しません」
と世間の人、全員を、敵に回すということです。
ちなみに、アテネオリンピックの時では、202の参加国のうち、191の国が、この「五輪停戦決議」の書類に、署名したそうですが、アメリカは、「テロ」などの理由に、最初から、この書類に、署名しなかったそうです。
「最初から、守れない決まりには、参加しません」
と言って、うまく逃げたのかもしれません。
この時は、11の国が、署名しなかったそうです。
あまり、知られていませんが、日本も、アメリカと一緒に、署名しなかったそうです。
適切な例えでは、ないかもしれませんが、自分が、サラリーマンの頃、よく経験したのですが、会社などで、懇親会を、居酒屋で、やったときなどに、上司が、
「今日は、無礼講だ! どんどん飲め!」
などと、言うことがありましたが、この「無礼講」というのは、実は、
「誰が、無礼講の飲み会で、無礼をやるのか? 無礼者は、誰なのか?」
を見極める儀式だったような気がします。
「品性」を、検査する目的で、やるということです。
だから、この時に、調子にのって、上司にタメ口をたたいたり、ふざけすぎたりすると、その後、なかなか、出世できずに、冷や飯を、食わされたりすることになります。
無礼講のときに、どういう態度をとるのかが、テストされていると、いうことです。
「エケケイリア(オリンピックの停戦)」というのは、ちょうど、会社でいえば、この「無礼講」にあたるようなものかも、しれません。
オリンピックでは、毎回、これが、試されているのです。
「誰が、バーバリアン(野蛮人)なのか? どの国が、無法者の集まりなのか?」
それを、あぶりだし、白日の下に、さらす儀式なのです。
「どの国が、信用できないのか? どの国が、信用できるのか? 誰が、嘘つきで、誰が、誠実なのか? どの政治家が、ダメなのか? どの政治家が、素晴らしいのか? どの企業が、エゴで動くのか? どの企業が、世の中のことを考えているのか?」
こういうことが、はっきりと、わかるのが、オリンピックだと、いうことです。
この期間に、信用を失うようなことをする国や組織、そして、人々は、オリンピックが、終わった後、おそらく、長いこと、復活できないような社会的な制裁を、世界全体から、受けることになると思います。
人間の歴史って、奥深いですね。
PS ロンドンオリンピック、楽しみです。
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