先日、友人と、『終の信託』という映画を、観てきました。
安楽死や尊厳死とは?
終末期医療とは?
法律とは?
などなど、いろいろ考えさせられました。
この映画を観てから、皆で、「死」について、意見を交換すると、いい気づきが、たくさんあると思います。
スピリチュアルな世界を、知っている方と知らない方では、「死」の感じ方は、だいぶ違うみたいですね。
私などは、
「死後の世界は、実在している」
という前提で、死を考えるので、こういう映画を観ても、けっこう暗くは、考えないのですが、映画そのものは、暗い内容です。
ただ、人間の世界というものは、明るい光の世界だけではなくて、暗い闇の世界も、存在しているので、この闇を、直視することも、大切なことだと、考えています。
安楽死や尊厳死の問題は、昔から、どこでも、あったみたいです。
日本でも、昔から、存在していたそうです。
ただ、昔は、現在ほど、人々が、「法律」を、基準に動いているわけではなく、お互いの「信頼」を、基準に、付き合っていたので、社会問題などに、発展することは、比較的少なかったみたいです。
以前に、何かの本で、読んだのですが、40年くらい前までは、両親が、危篤になったら、職場などに、
「チチ、キトク。カエレ」
などというカタカナの電報が、届いたそうです。
昔の映画やマンガなどで、見たことも、多いでしょう。
昔は、この時点で、この家の父親は、必ず死ぬということを、意味していたそうです。
つまり、現在と違って、飛行機や新幹線などは、発達していなかったので、もし、病気が、回復したりして、東京の職場から、遠い地方の田舎まで、子供たちが、汽車などで、何度も往復すると、交通費も、凄い金額になるし、職場での信用も、薄くなる。
そういう理由から、子供たちは、その父親が、眠っている部屋で、最後のお別れをした後に、長男が、お医者さんに、
「先生、そろそろお願いします…」
こう言って、他の兄弟姉妹を、部屋から、出します。
そして、その医者が、注射器に、空気を入れたり、なんらかの安楽死用の薬で、安らかに、眠らせてあげる。
こういうことは、日常茶飯事に、行われていて、誰も、こういう行為を、悪いことだと思わなかったし、医者を責めたり、訴えたりする家族も、いなかったようです。
それは、やはり、普段から、「信頼関係」を、大切にする社会だったからだと、思います。
医者は、地域の人々から、尊敬されて、慕われていたから、こういう最後のお役目を、務めることが、できたんだと思います。
私の父も、若いころ、外科医だったのですが、沖縄の石垣島で、仕事をしていた時の話を、高校生くらいの頃に、聴いたことがあります。
ある老人が、心臓の手術をした後、心臓を動かすための医療機で、人工的に心臓に、電流を送らないと、死んでしまうという事態に、なったそうです。
一晩くらいは、やってあげたそうですが、当時、この医療機は、大変な高額で、システム上、一日使うと、目ん玉が飛び出るくらいの金額が、かかったそうです。
その老人の家族も親戚も、お金がなくて、そんな金額を、支払える状態では、なかったそうです。
それで、父が、最後に考えたのが、その老人の家族と親せきに、開いている胸に、手を入れて、直接心臓を、マッサージさせるという方法だったそうです。
このやり方だと、お金が、かからないからという理由だったそうです。
その家に、数十人の家族と親せきが、輪になって、その老人を、取り囲み、一人づつ、握力がなくなって、疲れきったら、次の人に、交代してもらうというかんじで、バトンタッチのように、心臓マッサージを、皆に、やってもらったそうです。
つまり、皆の手が、疲れ果てて、誰も、マッサージできなくなった時が、その老人が、死ぬ時だったということです。
これは、たしかに、皆が、納得できるやり方かもしれません。
また、昔の時代だったから、できたんでしょう。
さらに、そういう提案をしても、誰も、父を、訴えたりしなかったということは、父が、やはり、その地域の人々から、尊敬されて、信頼されていたからだと、思います。
私が、父に、
「お父さん、それで、最後は、どういうかんじだったの?」
と質問しても、父は、
「…」
というかんじで、無言のまま、下をうつむいていました。
やはり、人の死に、関わることは、昔も今も、重たいテーマみたいです。
そして、いちいち言葉にしたり、なにもかも暴いて、知ろうとしなくても、いい問題だと思います。
この社会には、「暗黙の了解」というものが、昔からあるのです。
そして、これは、社会の構成員のメンバーが、「信頼関係」で、結ばれているから、できることなのです。
○映画『終の信託』予告編
PS この映画、ぜひ観てくださいね。
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