昨日は、東京は、凄い雪でしたね。
沖縄出身の私には、やはり、雪は、何回見ても、感動します。
雪国の人たちは、見なれた光景でしょうが、あまり、雪を見ない環境だと、街が、銀世界になると、なんか、ウキウキしてきます。
以前にも、同じような話を、書いたのですが、また、書きたくなってきました。
46歳になって、いままでの46年間を、振り返ってみました。
いろいろな思い出が、蘇ってくるにですが、やはり、自分の人格形成に、両親の影響が、思っていたよりも大きいことが、わかりました。
現在、私は、文章を書くのが好きで、こうやって、エッセイというかたちで、情報発信したり、いろいろな考え方を、たくさんの人と、シェアしていますが、やはり、これは、母親の影響が、大きいと思います。
母は、若いころ、地元の沖縄で、アナウンサーだったのですが、私が、現在、こやって、文章で、なるべく、わかりやすく、情報や思いを、たくさんの人に、届けるという姿勢は、母から、受け継いでいると思います。
また、本業のキネシオロジーによる個人セッションやセミナーでは、たくさんの人の心と身体を、癒して、元気づけるのですが、これは、父親の影響が、大きいと思います。
父は、若いころ、やはり、沖縄で、外科医だったのですが、抽象的で、わかりにくい精神世界を、科学的で合理的に、解釈して、それを、たくさんの人の幸せのために、生かそうという努力は、父から、受け継いでいると思います。
現在、自分がやっている仕事や特技、趣味などが、かなり、両親の影響を受けていることに、改めて驚いています。
「自分が、何をしていいのか、わからない…。自分に合った仕事が、わからない…」
という方は、ぜひ、自分の両親の仕事や特技、趣味、性格などを、もう一度、見直してみるといいと思います。
かなり、大きなヒントが、けっこう、隠れていると思いますよ。
昔のことを、思い出すと、いろいろと面白いことに、気がつきました。
子供の頃、母から、いろいろな人生哲学を、教えてもらったのですが、一番印象に、残っているのは、
「イタル、お母さんはね、イタルには、人の心の痛みがわかるような、やさしい人間に、なってもらいたいと、思っているんだよ。この世界で、一番大切なことは、やさしさだよ。ぜひ、やさしい人間になってね…」
と、やさしい眼差しで、語った後に、急に厳しい表情で、睨みつけるように、
「でも、この世界には、悪い人間や、恐ろしい人間、酷い人間も、たくさんいる。そういう人間には、絶対に、負けるな!」
と強い口調で、言ったことです。
小学校の低学年の頃だったと、思うのですが、この母の言葉が、やけに、印象に残っています。
「やさしい人間に、なりなさい」
というのは、どこの家庭でも学校でも、教えると思うのですが、我が家の教育方針の中には、
「悪い人間に、負けるな」
という教えも、あったようなのです。
これは、先祖代々なのか、両親の人生哲学なのか、よくわからないのですが、たしかに、家では、そういう教育が、一貫して、あったみたいです。
「悪い人間に、勝て」
ではなくて、
「悪い人間に、負けるな」
という表現が、母らしいと思いました。
「勝たなくてもいい。ただ、負けるな」
という意味だったと思います。
そういえば、子供の頃、やたらと、「刑事もの」のテレビ番組を、みせられました。
一番、最初にみた記憶があるのが、「刑事君」ですね。
あとは、「夜明けの刑事」や「明日の刑事」。
「太陽にほえろ」、「Gメン75」、「噂の刑事、トミーとマツ」、「刑事コロンボ」などなど。
こういう刑事ドラマは、積極的に、みせられた記憶があります。
その後、20歳くらいの時に、母から、
「あのね、お父さんも、お母さんも、イタルが、子供の頃、あまりにも、心がやさしすぎて、心配だったのよ。あなたは、人がよすぎて、人を疑ったり、嫌ったりする要素が、ほとんどなかったの。純粋すぎたの。これでは、あまりにもバランスが悪すぎる。お人好しのまま、大人になったら、悪い人間から、絶対に酷い目に遇わされる。だから、世の中の悪というものを、教えるために、考えた教育のやり方が、刑事ドラマを、たくさんみせるという方法だったのよ」
という話を、聞かされて、
「そうだったのか…」
とビックリしたおぼえがあります。
たしかに、刑事ドラマには、酷い悪人が、たくさんでてきますね。
また、そういう人への対処法なども、でてきます。
「自分の両親って、ここまで、考えて子育てをしていたのか…」
と思って、なんともいえない、複雑な気持ちになりました。
同時に、感謝の気持ちも、湧いてきました。
父からも、いろいろなことを、学びました。
まず、思い出すのは、これも、小学校の頃だったのですが、私が、こういう質問をしたことがあります。
「ねえ、お父さん、前から聞こうと思っていたんだけど、お父さんは、この世の中から、病気が、全く無くなってしまって、お父さんの病院に、患者さんが、誰も、来なくなって、貧乏になってしまうのと、反対に、この世の中が、もっと、病気だらけになって、お父さんの病院に、患者さんが、たくさんやってきて、お金持ちになるのと、どっちが嬉しい?」
今、考えたら、小学生で、こういう質問をする自分も、かなり、変わった子供だったと思うのですが、父も、変わっていました。
「うーん…。うーん…」
としばらく、うなり、下をうつむいたまま、難しい表情で、長時間、熟考した後、ニッコリ、笑って、
「うん。世の中が、病気だらけになって、金持ちになったほうが、お父さんは、嬉しい」
と言ったのです。
「ええっ?」
と驚いてしまいました。
予想外の答えだったので、ビックリしたまま、いろいろと、複雑な感情が、こみあげてきたおぼえがあります。
「なんだ。お父さんって、立派なお医者さんだと、周囲の大人は、言っているけど、案外、金儲け主義の人だったんだな…。ガッカリだな…」
子供心に、けっこう、傷つきました。
ただ、父の方は、嬉しそうな顔をして、
「イタルは、こういう質問をするようになったんだな…。将来は、哲学者になるかもしれないな…」
と言ったのも、覚えています。
その後、いつもの年と同じように、正月に、家に、年賀状が、たくさん届いたのですが、そこで、ある事実に、気がつきました。
自分には、学校の友人、数名からしか、年賀状が、届かないのですが、父には、何百通もの年賀状が、届いていたのです。
まあ、親戚や友人の年賀状もあったのですが、9割くらいは、病院の患者さんからでした。
「先生の手術のおかげで、健康になりました。ありがとうございました」
というような「感謝」と「お礼」の年賀状ばかりでした。
「あれっ? お父さん、実は、たくさんの人を、幸せにして、感謝されるような素晴らしい仕事を、やっていたんだなー。やっぱり、お父さんって、凄いんだなー」
と、やはり、見直しました。
「お金=愛」
「お金=信用」
というような現在の私の金銭哲学は、間違いなく、この時の父親の影響から、きていると、思います。
子供の頃に、お金に対して、ポジティブな考えを、持つことができたのは、とっても、よかったと、思っています。
あと、父は、60歳を過ぎてからは、
「患者を、薬漬けにする、西洋医学は、もう駄目だ…」
と開業していた病院を、辞めて、漢方薬などの東洋医学を、最初から、学び始めました。
今でも、沖縄の実家の庭には、たくさんの植物が、植えてあります。
まあ、これが、私の小学校の頃の意地悪な質問のせいなのか、どうかは、今でも、わかりません。(笑)
父は、こういうことも、よく言っていました。
「お父さんはね、仕事において、一番大切なことは、信用だと、思ってる。信用さえあれば、どんなに借金していても、いくらでも返せるし、どんな苦境に立っても、跳ね返せる。でもね。信用を無くしたら、どんな仕事でも、すぐに駄目になるよ。仕事というのは、お金を、大切にするのではなく、信用を、大切にするんだよ。そうすれば、お金なんか、勝手についいてくるよ」
これも、現在の私に、大きな影響を与えた教えです。
もう一つは、
「お父さんはね、人生において、一番、大切なことは、『まずは、やってみよう!』という姿勢だと思うよ。なにか、やってみたいことがあったら、いろいろ考えるのもいいけど、この『まずは、やってみよう!』という姿勢が、必要だよ」
これは、シンプルだけど、とても、大事な人生哲学だと思います。
そうですよね。
なんでも、まずは、やってみないことには、はじまりません。
だから、
「まずは、やってみよう!」
というのは、本当に人生で、一番大切な姿勢だと思います。
とりあえず、一歩だけ踏み出す。
これから、人生は、動き出すんですよね。
皆さんも、時間があるとき、子供の頃、両親が、いろいろ教えてくれた、数々の教訓など、思い出してみるといいですよ。
特に、苦しい人生を、歩んでいる最中には、素晴らしいヒントが、たくさん見つかると思います。
だって、この世界で、自分のことを、一番愛している人からの、アドバイスなのですから。
最後に、沖縄の代表的な民謡、「てぃんさぐの花」を、紹介します。
この歌は、
「てぃんさぐの花を、爪の先に、染めるように、親の教えを、心に、染めなさい」
という沖縄の古くからの教えを、歌ったものです。
素晴らしい詩ですね。
○「てぃんさぐの花」 八重山民謡
(方言の歌詞)
1
てぃんさぐぬ花や
爪先(ちみさち)に染(す)みて
親(うや)ぬ寄事(ゆしぐとう)や
肝(ちむ)に染(す)みり
2
天(てぃん)ぬ群(むり)星(ぶし)や
読(ゆ)めば読(ゆ)まりしが
親(うや)ぬゆしぐとうや
読(ゆ)みやならん
3
夜(ゆる)走(は)らす船(ふに)や
子(に)ぬ方(ふあ)星(ぶし)目当(みあ)てぃ
我(わん)ん生(な)ちぇる親(うや)や
我(わん)どぅ目当(みあ)てぃ
4
宝玉(たからだま)やてぃん
磨(みが)かにば錆(さび)す
朝(あさ)夕(ゆ)肝(ちむ)磨(みが)ち
浮(うち)世渡(ゆわた)ら
5
誠(まくと)する人(ひと)や
後(あと)や何時迄(いちまでぃ)ん
思(う)む事(くと)ん叶(かな)てぃ
千代(ちゆ)ぬ栄(さか)い
6
なしば何事(なにぐとぅ)ん
なゆる事(ぐとぅ)やしが
なさぬ故(ゆい)からどぅ
ならぬ定(さだ)み
(標準語訳)
1
ホウセンカの花は
爪先に染めなさい。
親の言うことは、
心に染めなさい。
2
天の群星は
数えようと思えば数えきれるけど、
親の言うことは、
数えられない。
3
夜、沖に出る舟は
北極星が目当て、
私を産んでくれた親は
私が目当て。
4
宝石も
磨かなくては錆びてしまう
朝晩心を磨いて、
世の中を生きていこう。
5
誠実な人は
後はいつまでも、
思っていることが叶って
幸せである。
6
成せば何事も
成ることであるが、
成さぬ故に
成らないのだ。
○「てぃんさぐの花」 by cojaco
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