先日の東京セミナーの後の懇親会で、話題になったことを、こちらでも、書いておきます。
懇親会で、ある方から、
「精神世界を勉強している人で、キチンと社会生活を、送っている人もいれば、おかしくなってしまい、まともな社会生活が、送れなくなってしまう人もいますね。この両者は、どう違うのですか?」
という質問がありました。
私自身が、精神世界の勉強を始めてから、25年くらいになりますが、たくさんの人を、見てきました。
精神世界の勉強をしてから、人生が、劇的に素晴らしくなる人もいれば、反対に、かえって悪くなり、最後には、精神病を、患ってしまう人もいました。
つまり、
「精神世界の勉強をしながら、正気を保つ人、それから、狂気に陥ってしまう人。両者の違いは、何なのか?」
ということですね。
言葉で、簡単にまとまる話ではありませんが、気がついたことを、いくつか、あげてみます。
大学の頃、臨床心理士になりたくて、いろいろなカウンセリングを学んでいた頃、精神医学や心理学の本を、たくさん読みました。
その中で、「精神病」という病気の定義について、ある本に、こう書かれていました。
「精神病の要素は、誰でも、多かれ少なかれ、もっているものです。細かいことに、注目すれば、どんな人も、精神病になってしまいます。目安としては、社会生活を、営めなくなるほどの病状になったら、精神病ということです」
簡単に言うと、
「精神病だから、仕事ができなくなるのではなくて、仕事ができないくらいに、精神がおかしくなったら、精神病」
ということです。
逆に言うと、
「会社などで、仕事ができている状態の人は、ちょっとくらい変わった言動や行動をしても、それは、まだ、精神病という病気ではない」
ということです。
これは、自分なりに、腑に落ちました。
医学的な解釈ではなく、社会的な視点から、判断するということですね。
もしも、自分で自分のことを、
「自分は、おかしいのではないか?」
と思っても、会社などで、仕事ができていたり、学校で、勉強できているうちは、あまり深刻に考えなくてもいいということです。
しかし、もしも、仕事ができなくなって、会社から注意されたり、学業成績が、極端に落ちた場合は、精神科医などに、診てもらった方がいいということです。
実際には、病院に行くまでもなく、精神状態が微妙な人が、多いと思いますが、その中でも、注意が必要なのは、
「その人の意見や主張が、ユニークである場合、結論ではなく、過程を重視すること」
ということです。
具体的には、
「UFOを見た、宇宙人に会った!」
「幽霊を見た、霊界に行ってきた!」
「テレパシーが使える、人の心が読める!」
という超常現象を体験したという人がいた場合、
その結論だけを聞いて、
「この人は、頭がおかしい人だ!」
と安易に結論付けては、いけないということです。
あたりまえのことですが、書いておきます。
超常現象を体験した人の中にも、頭のおかしい人もいれば、まっとうな人もいます。
超常現象を体験したことのない人の中にも、頭のおかしい人もいれば、まっとうな人もいます。
だから、
「不思議な体験をした人=頭のおかしな人」
ではないということです。
同時に、
「不思議な体験をしない人=まっとうな人」
でもありません。
超常現象を体験した人の意見や主張を聞く場合、
「どうして、そう思うのか?」
という結論に至るまでの過程を、ちゃんと聞き、その論理に、キチンと筋道が通っていれば、その人は、まともなのです。
もっと言っておくと、筋道が通っていなくても、ただ単に、表現力に乏しかったり、説明が下手なせいで、おかしいと誤解されている、まっとうな人も、たくさんいるということも、忘れないでください。
まあ、このあたりは、たくさんの人から、不思議な体験談を聞いているうちに、だんだんわかってきます。
いわゆる、「いっちゃている人」と言われ、「おかしな人」だという烙印を、周囲から押される人には、いくとかの特徴があります。
まず、会話のキャッチボールが、下手だということです。
こちらが、グローブを構えてもいないのに、いきなり、ボールを投げてきたり、投げても、無視して捕らなかったり、ボールを必ず落としたり、さらに、まったく別方向に、投げたりという、めちゃくちゃなキャッチボールになります。
バランスのいいコミュニケーションが、とれないというのが、最大の特徴です。
対面での会話だけでなく、メールでのやりとり、ブログやSNSなどでの文字によるコメントのやりとりでも、トンチンカンなコメントを書いてきたり、全体の空気を読まずに、自分だけの意見を、主張したりします。
数回コミュニケーションをすれば、その人が、どういう人なのか、だいたいわかります。
正気の部分が少なくなってきて、狂気の部分が多くなってくると、視野が狭くなってくるという特徴がでてきます。
自分の視点だけで、世の中を見るようになってくるのです。
客観的な視点が、なくなってくるのです。
社会的な常識や道徳、マナー、気配りなどが、欠けてくるということです。
さらに、周囲の意見や忠告、アドバイスなどに、耳を傾けなくなり、最終的には、
「自分だけが、まともで正気であり、世の中のほうが、おかしくて狂ってる」
と考えるようにもなってきます。
これは、思うだけなら、特に問題はありません。
実際、そう思いたくなる出来事も、世の中には、けっこうあります。
しかし、それを行動に移し、犯罪をしてしまったら、問題です。
こういう問題を起こしやすい人たちが、集まって組織をつくったものが、「カルト宗教」です。
「正気と狂気」ということについては、過去に、わかりやすい事例がありました。
30年以上前だと思いますが、日本中を震撼させた、ある猟奇事件がありました。
その時に、ある雑誌のコラムに、書いてあったことです。
だいたいこういう内容でした。
その犯人は、逮捕された後、心神喪失だという判断をされ、無罪になってしまったのですが、精神病院からも退院して、普通の社会生活を送るようになったのです。
それだでけでも驚きで、今でも謎ですが、その犯人は、そのあと、いろいろなメディアからの取材を受け、インタビューにも、答えていたのです。
当時、自分の犯罪の描写を、得意になって語る姿に、違和感や嫌悪感を感じた人も、多かったと思います。
それからしばらくすると、なんと、ある大学が、学園祭で、その犯人を、講師として招待し、トークショーみたいなイベントを、開催したのです!
そのコラムは、こう結論付けていました。
「その犯人は、間違いなく、現在も、心神喪失状態である。なぜなら、メディアの取材で、インタビューに答えるということ自体が、狂気の行動だからである。被害者の遺族たちが、そのインタビューを聞いて、どう感じるかということが、想像できないということが、客観的で社会的な視点が、欠如している証拠であり、病気なのです」
続けて、
「さらに、付け加えると、大学の学園祭で、その犯人を招待した学生たちも、狂気に陥っているのです。もっと言えば、そのトークショーを聞きにいった人たちも、全員、狂人なのです。被害者の遺族たちの気持ちが、考えられないという集団的な狂気なのです。狂人が集まると、その集団の中では、お互いが、まともに見えるのです」
これを読んで、
「なるほど…」
と思いました。
「狂っている人」というのは、この犯人や学園祭のトークショーに参加した人たちのことを、言うのです。
「狂っている」というのは、こういうことなのです。
「狂気」というのは、自分の中の「狂気」が、わからなくなっている意識状態なのです。
「まっとう」というのは、こういうことが、わかっていることなのです。
「正気」というのは、自分の中の「狂気」が、わかっている意識状態なのです。
酒を飲んで、酔っぱらっている人にかぎって、
「もう、それ以上、酔わないでください」
と注意すると、
「酔っぱらってないよー!」
と叫びます。
怒っている人にかぎって、
「そんなに怒らないでください」
と注意すると、
「怒ってないよー!」
と怒鳴ります。
客観的な視点が、なくなっているのです。
だから、
狂気の人にかぎって、
「自分は、おかしくない」
と思っているのです。
正気の人は、
「自分は、おかしいかもしれない」
と思っているのです。
自分の中の狂気の部分を、認められることができれば、まだ、「正気」なのです。
もしも、今、自分の中の狂気の部分が、認めれらなけば、それは、黄色信号です。
もしかしたら、「狂気」の部分が、多くなっているかもしれません。
自分で自分の正気度や狂気度を、チェックする場合、わかりやすいのは、自分が、現在、付き合っている友人や知人が、見てみれば、わかります。
自分が、おかしくなってきた場合、周囲にも、おかしな人が、集まってきやすくなります。
「類は友を呼ぶ」
「朱に交われば赤くなる」
と言うように、似た者同士は、グループをつくりやすいのです。
もしも、狂気を感じる人が、自分の周囲に、多くなっていたら、黄色信号です。
なるべく、そのグループからは、その集団に、気づかれないように、そして、波風を立てないように、すーっと静かに、立ち去ったほうが、いいと思います。
☆以前に書いた、「悪魔編」も、まだ、読んでいない方、ぜひ、読んでみてくださいね。
http://www.tomaatlas.com/akuma.htm
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