「お子さんから、『何のために、生きるの?』と、聞かれたら、『誰かを幸せにするために、生きるのよ』と、答えてあげて下さい」
by 瀬戸内 寂聴
桜の花も、だいぶ散ってきましたね。
東京は、これから、初夏に向かいますね。
最近、10代や20代の頃、自分自身が、人生に行き詰っていた頃のことを、よく思い出します。
誰でも、経験あると思いますが、そういう時は、かなり辛いです。
何もかもが、行き詰ってきている場合、ほとんどのケースが、視野が狭くなっていることが、大きな要因の一つです。
さらに、具体的に言うと、
「自分のことだけを、考えている」
という意識状態だということです。
いろいろな方のブログ、ツイッター フェイスブックを、読んでいると、気がつくことがあります。
精神的に行き詰って、身動きがとれなくなっている人は、文章に、特徴があります。
それは、話題が、
「自分のことだけ、自分を見つめることだけ」
になっていることです。
極端な内観ばかりに、偏っているのです。
これは、特に、精神世界系の人に多いみたいです。
悩んだり、苦しんだりした結果、自分の内側に、閉じこもっているのですが、その結果として、ますます苦しくなるのです。
この世界は、自分以外にも、たくさんの他者がいます。
その他者の集合体が、社会であり、言い方を変えると、世間になります。
そういう世界で、他者に目を向けないようにして、自分の中ばかりに、閉じこもると、行き詰るのは、当たり前なのです。
特に、精神世界系の書籍やブログなどには、
「全ては、自分が、創りだしている」
「この世界は、全部、自分の映し鏡である」
というような内容が多いので、全ての原因を、自分に向けがちです。
それはそうなのですが、こういう極論は、実生活には、直接は、当てはまらないことも、多いです。
さらに、真理というものは、実は、現実の世界には、役に立たないこともあるのです。
だから、自分の内面を、とことん見つめた後は、世の中の動向や社会に、目を向けることも、大切なのです。
そもそも、この世界は、独学に向いていないのです。
本当に、自分一人だけで、内観して、悟りが開けるのならば、誰もいない無人島に、生まれてくるはずです。
それが、大半の人は、たくさんの人が、生活している「社会」という学びの場に、生まれてきます。
これは、やはり、人間が、他者と関わって、悟りに至るという学びが、向いていることを、示しているのです。
「押しても駄目なら、引いてみな」
と昔から言うように、自分の内側ばかり見つめて駄目な場合、答えは、自分の外側にあるのです。
人生に行き詰った場合、ほとんどの突破口は、
「他人や世間に、目を向ける」
という方向にあることが、多いのです。
自分にばかり目を向けていると、まず最初に、経済的に、行き詰ります。
なぜならば、全ての経済活動や仕事は、他者と関わることによって、成り立っているからです。
山の中の洞窟で、瞑想ばかりやっていて、お金が入ってくることはないのです。
自分のことばかり考えている意識状態というのは、「子供の意識」でもあります。
子供というのは、自分のことばかり考えて、生活しています。
特に、幼ければ幼いほど、
「自分にしてほしいこと」
ばかり考えています。
赤ちゃんや子供は、それでいいのです。
親が、なんでもやってくれるからです。
しかし、この意識状態のままで、大人になった場合、人生が、苦しくなります。
こういう人は、常に、
「誰かが、自分に、何かしてくれないかな?」
と考えています。
棚から牡丹餅ばかりを、期待したり、何もしないで、一攫千金を狙ったりするのも、このタイプです。
「世の中に、貢献したい」
という意識が、まったくないのが、特徴です。
こういう人は、本人は、意識してませんが、周囲は、すぐにわかります。
そして、
「あの人、まるで子供だよね」
と評価されます。
「貰うこと」ばかり、考えている意識状態が、「子供」の意識だということです。
「与えること」を考える意識状態が、「大人」の意識なのです。
もう一度、言います。
「子供は、貰う」
「大人は、与える」
です。
このシンプルな公式を、よく覚えてください。
言うまでもないことですが、人生が、どんどん苦しくなるのは、前者であり、人生が、どんどん楽になるのは、後者です。
これは、世の中のほとんどのことに、当てはまると思います。
だから、もし、今、人生に行き詰っていて、苦しんでいたら、
「もしかしたら、自分は、子供の意識状態なのではないだろうか? 貰うことばかり、考えているのでないだろうか?」
と考えると、新しい展開が、見えてくるかもしれません。
個人でも会社でも、経済的に行き詰った場合、これが、ほとんどの原因みたいです。
貧乏になったり、経営が、行き詰っている時、世間に対して、いい商品やいいサービスを、提供していないのです。
逆に言えば、世間が、欲しくてたまらない商品やサービスを提供して、とても喜ばれている状況の時には、貧乏になるほうが、難しいのです。
先日、テレビで、有名な「近江商人」の話を、やっていました。
これは、昔から日本にある商売の基本らしいのですが、「三方よし」という単語で、表現されますね。
つまり、「売り手」、「買い手」、「世間」の三者が、皆、豊かになるのが、理想の商いだということです。
この三方向が、全てよくなることを、心がけていれば、商いは、うまく続くそうです。
ここまでは、よく聞く話ですが、ここからが、重要です。
実は、この商いは、順番が、もっと大切だというのです。
一般的には、まずは、「売り手」が、豊かになり、それから、「買い手」、最後に、「世間」が、豊かになるという順番だそうですが、実は、
なによりも最初に、まず、「買い手」を、豊かにする。
それから、「世間」を、豊かにする。
最後に、その結果として、「売り手」が、豊かになる。
というのが、本当の順番なのだそうです。
これには、いろいろな説があるそうですが、私には、これが、シックリきます。
「売り手」の豊かさは、あくまでも、「買い手」と「世間」が、豊かになった後の「おこぼれ」にすぎないです。
この話を、言い換えますね。
単語を、「自分」と「他者」と「社会」、そして、「幸せ」に、変換します。
一般的には、まずは、「自分」が、幸せになり、それから、「他者」、最後に、「社会」が、幸せなるという順番ですが、本当は、
最初に、まず、「他者」を、幸せにする。
それから、「社会」全体を、幸せにする。
最後に、その結果として、「自分」が、幸せになる。
どうですか?
こちらのほうが、自然な感じがしませんか?
特に、他者を思いやるのが、得意な日本人には、こちらのほうが、スムーズなような気がするのですが、どうでしょうか?
「思考は、現実化する!」
というような「自分の意識」が、起点の世界観は、どちらかというと、欧米式のビジネスのやり方です。
日本人には、
「お陰さまで…」
という表現が、多様されているように、「他者の幸せ」を、起点にした人生観が、ビジネスにも、生き方にも、合っているような気がするのです。
私自身が、学生の頃、自分の内面ばかりに、目を向けすぎて、人生が行き詰り、とうとう精神を病んでいまい、長年苦しんだ経験があるのですが、やはり、苦しい時には、
「自分は、何に向いているだろうか?」
「自分の才能や素質は、何だろうか?」
といような自分のことばかり、考えていました。
しかし、そこで、行き詰り、ある時に、反対のことに、目を向けました。
その時の突破口は、
「他人が、喜ぶことは、なんだろうか?」
「社会は、何を必要としているのだろうか?」
という他人や社会に、目を向けたのです。
それから、
「来月あたりに、自分ができる範囲のことで、皆が、喜ぶことはなんだろうか?」
と具体的に、身近なことで、自分が、貢献できることを、考えてみました。
すると、
「そういえば、最近、同級生たちに、会ってなかったな… 久しぶりに会いたいな… よし!自分が幹事になって、クラス会でも、開催するか?」
こう思って、居酒屋を、予約して、皆に、電話してから、クラス会を、開催しました。
終わった後、皆から、
「いやー! 楽しかったよ! ありがとう!」
と感謝された時に、それまでに、苦しかった意識が、すーっと取れていって、楽になったのが、今でも、忘れられません。
この世界では、他人のために、自発的に動くのが、「大人」であり、他人に甘えて、受身で待っているのが、「子供」です。
言うまでもないことですが、人生において、どんどん、楽で幸せになっていくのが、「大人」の意識です。
もしも、苦しくなっていたら、「子供」の意識になっているかもしれません。
東日本大震災の時の話です。
仮設住宅で、人々が、寒さで震えながら、夜を過ごしている時に、おにぎりを、待っている人は、不平不満ばかりで、イライラしている人が、多かったそうです。
でも、その時、同じ状況でも、そういう境遇で、同じくらい苦しいのに、皆のために、率先して、おにぎりを、にぎっているオバちゃんたちは、冗談をいいながら、笑顔で元気いっぱいだったそうです。
これは、いかに日本人が、周囲を幸せにすることに、喜びを感じる魂かが、よくわかる話だと思います。
「何か小さいことでいいから、周囲に提供すること」
このことから、人生は、楽でハッピーになっていくのです。
行き詰っている時、周囲は、いきなり、
「なんでもいいから、仕事しろ!」
と言ってきたりしますが、これは、いきなりは、無理です。
精神が、ボロボロの状態の時に、仕事など、できないのです。
ちょっとしたアルバイトも、できないのが、本当に、行き詰っている時なのです。
そういう時、まずは、ボランティア的なことから、始めましょう。
家の中や近所を、掃除したり、犬の散歩をしたりするのも、いいです。
それも、難しい場合は、何かを、身近な人に、やってあげるといいです。
お年寄りの肩を揉んであげるくらいでもいいです。
私のように、自分が主催して、食事会のようなものを、やるのもいいでしょう。
冒頭の瀬戸内さんの言うように、
「誰かを、幸せにしてあげよう」
という気持ちが、結果として、自分自身の「救い」になるのです。
まとめると、人生が、行き詰った時には、自分に目を向けるのを、いったん、お休みして、他者を、思いやることをやると、人生が、好転しはじめることが多いのです。
さらに、その時には、いきなり、大きなことを、やろうとしないことです。
「小さな一歩」で、いいのです。
それでも、苦しい時には、「小さな10分の一歩」で、歩んでください。
それさえも、苦しい時は、さらに、「小さな100分の1歩」で、ゆっくり前に、すり足でいいから、踏み出してください。
そうすれば、必ず、人生の行き詰まりは、突破できます。
これは、何回も人生に行き詰って、それを、実際に、何度も突破してきた私が、自信をもって言えるアドバイスです。
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