先週、都内の池上本門寺に行ってきました。
目的は、「花見」だったのですが、あいにく、まだ、ほとんど咲いていませんでした。
「まだ、花見には早いとは思うけど、少しくらいは、咲いているだろう?」
こう思っていたのですが、まったく咲いてなくて、着いてから、ガッカリしました。
まだ、蕾の状況でした。
大好きな五重塔です。
それでも、
「どこかに、咲いている桜の花があるのではないか?」
と、期待して、歩いていたら、一輪だけ咲いていました。
これには、大感動でした。
考えてみれば、満開の桜並木の中を歩いていたら、一輪の桜の花には、感動しません。
どこも咲いていなかったから、このたった一輪の花に、目が留まったのです。
人間というのは、幸せな時には、その幸せを感じにくいみたいです。
お腹がいっぱいの時には、どんなに豪華な料理を目の前に出されても、それに、ありがたみを感じないのです。
でも、腹ペコの時に、目の前に、一杯のスープが出されて、それを、最初に口に含んだ瞬間は、なんともいえない幸福な気持ちになるものです。
学生時代などに、経験した方も、多いと思いますが、いつも、たくさんの友人に囲まれていた時には、感じなかった友情も、何かの事情で、クラスの皆から、嫌われて、無視されたりして、孤独になっている時に、一人だけ、手を差し伸べてくれる人が現れたら、その人とは、その後、本当の友人になったりします。
たくさんあるうちは、それの本当の価値に、気が付きにくいのです。
この一輪の桜の花を見ていたら、私は、「一休さん」を思い出しました。
子供の頃、アニメでやっていましたね。
昔、テレビで、「一休さん」のモデルである、「一休宗純」というお坊さんの生涯を描いた、ドラマをやっていました。
うろ覚えなのですが、その時に、一休さん(一休宗純)が、応仁の乱の後の京都を歩いていた時に、町全体が荒廃して、草花がほとんどない道を歩いていたときに、道端に咲いていた一輪の花に目が留まり、涙を流して感動したそうです。
「こんな最悪な状況でも、花は咲いている…」
おそらく、その花から、未来への希望などを、感じ取ったのだろうと思います。
あまり、知られていないようですが、一説によると、一休さんは、荒廃した時の京都の町で、当時、いわゆる、「サロン」みたいな場所を、つくったそうです。
いろいろな人を集めて、そこで、自由に楽しく、おしゃべりする空間をつくったということです。
その時に、現代の日本でも人気のある、「茶道」、「禅」、「能」などの文化の下地が、生まれたそうです。
それまでにも、あったと思いますが、これらの文化が、その時期に、ボンヤリと形になってきたのだと思います。
特に有名なのは、茶室を考案した茶道の祖、「村田珠光」という人物が、一休さんの禅弟子だったそうです。
座禅の時の眠気防止に、一休さんから茶を薦められたのが、茶との出合いだったそうですが、座禅を繰り返すうちに、
「茶禅一味」
の悟りに達したそうです。
彼が始めた、「侘び茶」は、従来の派手で形式中心の「大名茶」とは、全く異なるものだったそうです。
小さな四帖半の茶室の中では、人に身分など関係なく、そこにあるのは、亭主のもてなしの心だけです。
この心が、「仏」だと考えたそうです。
一休さんから学んだ、
「仏は心の中にある」
という教えを、珠光は、仏の教えをお経を通してではなく、日常生活(茶の湯)を通して、具現化したのだそうです。
この思想は、「武野紹鴎」を経て、「千利休」へと受け継がれていったと言われています。
私は、「茶道」は、やったことがないので、詳しいことは知りませんが、茶室に置く花のほとんどは、「一輪挿し」だそうですね。
これは、前述したように、一休さんが、応仁の乱の後に、京都で見た一輪の花が、元になっていると思います。
一休さんは、実は、当時の天皇の隠し子だったとも言われています。
「庶民でもなければ、天皇家の人間でもない」
という中途半端な立場だったそうです。
だから、周囲も困って、お寺に、小坊主として、あずけられたのだと思います。
そういえば、アニメの中でも、一休さんは、お母さんのことを、
「母上様…」
と呼んでいましたね。
とても高貴な身分だったから、そう呼んでいたのですね。
将軍、「足利義光」とも、子供のくせに、対等な口をきけたのも、天皇の子供だったからだとわかったら、納得ですね。
前述のドラマの中でも、面白い逸話が紹介されていました。
一休さんさんは、若い頃に、悟りを開こうとして、苦悶していたようですが、ある日、とうとう、それに、疲れ果てて、
「もう悟りなんか、開かなくても、いいや! 開いても、開かなくても、どっちでもいい。中途半端なままで、いいんだ。中途半端なこの状態で、一休みしよう」
こう悟って、そのことを、師匠のような人に言ったら、
「そうじゃ! それこそが、悟りじゃ! オマエは、悟ったのじゃ! よし、今日から、名前を、一休と、名乗りなさい!」
こう言われて、「一休さん」という名前になったそうです。
もしかしたら、現在の「精神世界」の教えの中に、取り入れたほうがいい教えって、この一休さんのように、
「中途半端のままでも、いいですよ」
という教えなのかも、しれません。
覚醒や悟りを開こうとして、くたくたに疲れている人も、たくさんいますね。
一休さんは、晩年、ある女性に惚れて、その女性と、10年間くらい、深く愛し合ったそうですが、その女性が、現代に生まれ変わったのが、「シャーリー・マクレーン」だそうです。
こう考えると、一休さんが、現代の「ニューエイジ」や「精神世界」の開祖なのかもしれませんね。
一休さんは、なにもにも、とらわれない、本当の自由を、追求していた人のように感じます。
本当の意味での、「自由人」だったと思います。
一休さんの残した名言の中には、
「宗教や思想の違いに関係なく、どんな人でも、いつかは、同じ境地に到達できる」
というような、「ゆるい教え」があります。
私は、こういう肩の力が抜けた、「ゆるい教え」が好きです。
これです。
分け登る
麓の道は多けれど
同じ高嶺の
月を見るかな
「一休さん」の人生観や世界観、ゆるくて、いいですね~!
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